倉庫から聖なる空間へ
建築概要
ファサード. できるだけ既存建物の良さは活かしながら外部デザインをしたいと考えました.教会としてはやや過剰なシャープさを抑えるように、礼拝堂でも使用するタイルや、スクリーンとしての木製ルーバー、視線を調整するガラスフィルムを使用し、十字架という教会の象徴と合わせ、控え目な存在感を表現しました.
秋田県大館市清水町
鉄骨造平屋建て
229.32㎡(69.23坪 車路部分は除く)
建築資材メーカーの倉庫兼事務所の建物を、プロテスタントのキリスト教会へ再生するリモデリング工事のための建築設計・インテリアデザインです. 現場は秋田県大館市、比較的交通量が多い通り沿いに位置します.
既存建物は、建築資材を扱う全国的なメーカーの倉庫事務所ということもあり、デザインも悪くなく、シンプルで端正な佇まいでした. リモデリングのためには、建物自体に過剰な主張がなく、クセのないスクェアな形状は好ましいものでした. 構造は、鉄骨造の柱と梁によるラーメン構造.既存の内部空間は、事務所+資材倉庫として使用されていたので、内部に柱が少ない大きな2つの空間で構成されています.
まずは、この建物全体をどのようにゾーン分けすべきか考え、手前の事務所スペースを執務・談話スペースに、奥の倉庫スペースを礼拝堂として考えることにしました.談話スペースは、キッチンを備えたカフェスペースとして考えており、外部を見通すことができるガラス張りのコーナーに設けることにしました.
教会は、基本的にどのような人であっても歓迎しますので、通りがかりの人も気軽に立ち寄っていただける建築にしたいと考えました.
既存建物. 以前は建築資材メーカーの倉庫兼事務所だった. 外観、倉庫、事務室スペース.
エントランスホール. スイス氷河粘土塗壁の白い無垢な空間.分厚い壁にAJのブラケット. 「あなたの将来には希望がある. 聖書」
倉庫を改修した礼拝堂. 80人程度の礼拝が可能. 床下に洗礼槽、収納を備える.
ワイルドなナラの無垢フローリング、スイス氷河粘土の塗壁
礼拝堂講壇部. 間接照明が素材感のあるタイルとステンレス無垢の十字架を浮かび上がらせる. アクリルの講壇は牧師自身によるデザイン. 左右の窓にはステンドグラスが入る.
礼拝堂入口から見る. 強い方向性が聖なる空間へと誘う.
オープンカフェ. 独立壁の後ろは キッチン.左手奥に牧師室.
礼拝堂への入口. 左手はお祈りの部屋前のホール.
小さな個室のお祈りの部屋. 畳、塗壁、間接照明で落着いた空間としている.
礼拝堂に隣接する子供室. 安全ガラスで仕切られる.
牧師室. バーチ合板28ミリ、小口表しの書棚と収納棚.
牧師室前のニッチ棚. スイス氷河粘土の塗壁.
大館在住作家による礼拝堂のステンドグラス.
教会を象徴する十字架. 無垢のステンレス製. バックは、礼拝堂十字架部分と同じタイル.
アプローチ階段部分は青森ヒバ+白木材保護塗装のルーバー. カフェ部分ガラスには、視線調整シートによる白のグラデーションがかかる.
コンセプト・イメージ.礼拝堂.
コンセプト・イメージ.オープンカフェ.
この度、加藤さんの設計監理によって、新しい教会が誕生しました。 訪れる方々から「素敵・落ち着く・癒される・センスが良い」等のお褒めの言葉をいただき、教会員一同心から感謝しています。
設計士を選ぶにあたり、次の条件を満たす方を探しました。 1.センスがよい 2.誠実 3.コミュニケーションがよくとれる 4.予算内でこちらの希望を満たしてくれる。 数名の設計士と実際お会いしてみて、この条件を満たしていたのが加藤さんでした。
私たち以上に教会建築に、情熱をもってくださり、教会の礼拝に参加し、また教会員の方々の要望を丁寧に聞いて、かたちにしてくださいました。そればかりか、メール、電話等での質問、相談に誠実に答えてくださり、最後まで安心しておまかせすることができました。 限られた予算の中で、こだわりをもって、センスよく仕上がったのも加藤さんの実力だと思います。
設計料も、当初は高いように感じましたが、設計だけではなく、施工業者とのやり とりや監理すべてを含めて、充分満足ができるものでした。
加藤さんの人柄、プロ意識、こだわり、向上心。そして何よりも、かっこよさ。こ れからますます活躍され、日本を代表する建築家になるのではないでしょうか。(加藤注:そんなことないです。) 加藤さんの活躍を祈りつつ、スタッフの渡部様にも心から感謝申し上げます。
緑の牧場教会大館チャペル 牧師