His-HouseⅡ

記憶の継承と成長・変化する家族の暮らし

建築概要

場所 秋田県秋田市
構造・規模 木造 2階建
家族構成 夫婦+子供1人
延べ床面積 125.55㎡ (37.90坪)

記憶の継承と成長・変化する家族の暮らし

ダイニング・キッチン.南の窓から陽が差し込む.上部はフリースペースが面する吹抜け.奥にキッチン.

場所

秋田県秋田市

構造・規模

木造 2階建

家族構成

夫婦+子供1人

延べ床面積

125.55㎡ (37.90坪)

従前の住宅の記憶を継承し、成長・変化した家族の暮らしに呼応する住宅としてプランニングしました

秋田市内の住宅地、2005 年に新築した住宅の区画整理事業による建て替え計画でした。

当初より10 年程度で区画整理のため解体になるかもしれないと聞いておりましたが、当時はその通りになるとは思っておらず、遠い将来の事と考えてました。敷地は現状敷地を含み、わずかに東側に移動した位置になり、北側に前面道路という条件は変わらず、間口が狭い矩形からより正方形に近い形状となりました。

その敷地に従前の住宅の記憶を継承しつつ、成長・変化した家族の暮らしに呼応する住宅として、新たにプランニングしました。共働きのご夫婦が効率的に家事をこなし、くつろぎ、今後さらに成長していく子供や年齢を重ねていくご夫婦に、フレキシブルに対応するプランニングを提案させていただきました。必要な諸室に加え、リビング・ダイニングと連続する多目的な予備室を設け、吹抜けに面した2 階フリースペースは子供の勉強やご夫婦の読書スペースとして活用していただきます。特に充実した玄関回りの収納スペースをはじめ、全体的に収納は多めで、これにより家全体がストレスなく片付けられるのではないかと考えます。

外観は従前の黒と白のモノトーンなイメージを一新し、アイボリーの吹付けとナチュラルなウッドで、落ち着いた柔らかなイメージとしています。

北側ファサード.アイボリーとウッドのコンビネーション.

ダイニング.製作家具のTV台.階段と玄関・水回りへの出入口.

リビングと連続する多目的な予備室.必要に応じて建具で間仕切る.

キッチンからダイニング・リビング方向を見る.

LDK.左手奥に玄関ホールのアクセント壁.

LDKと吹抜け.

玄関ホールのアクセント壁.

玄関.たっぷりの玄関土間収納.

フリースペース.北側だが安定した明るさが得られる.

2階フリースペース.吹抜けの仕切りは可動式.

北側ファサード.

2階寝室.吹抜けと建具で仕切る.

Prototype Modeling

お客様の声

■ 経緯等
 このたび、加藤さんに2軒目の家を設計していただくという機会に恵まれました。
 元々1軒目の家を建てたときから、近い将来に区画整理のために違う土地(換地)に移転しなければならないことが分かっていましたが、思いがけず10年も経たないうちに区画整理の対象となってしまいました。請け負っていただけるか不安を感じながらも加藤さんに設計監理のご相談をさしあげたところ、ご快諾いただき、こうして2軒目のプランニングがスタートする運びとなりました。

■ 2軒目の家を建てるということ
1軒目の家に非常に満足していたため、それを超えるような家というものがなかなか具体的にイメージできず、2軒目のプランに至るまでは色々と紆余曲折がありました。ご提案時、加藤さんの「苦労しました」の一言に(笑顔ではありましたが)、苦悩・苦闘が垣間見えました。
その後、あれこれ悩み・格闘しながら何とか完成にこぎつけたわけですが、1軒目の家のことが分かっているだけに(そこに住んでいたわけですから)、さらにそれを凌ぐ家を建てようとすることがいかに困難なことか痛感しました。大げさな言い方をすると、それは「過去の経験や実績を超える(自分を超える)」ことと同義ではないかと思います。家を建てるたびにこうしたことと向き合っている建築家という職業に改めて尊敬の念を抱きました(お世辞抜きで)。

■ デザイン
デザインについては、1軒目の家と同様に非常に満足しています。
加藤さんの家らしいシャープな部分もありつつ、全体的に落ち着いた雰囲気に仕上がっていると思います(加藤さんと助手の菅原さんお二人の感性が結晶した形ではないでしょうか)。周囲の家も区画整理のため新築物件ばかりなのですが、そうした家々の中にあっても際立っている(存在感のある)素敵な家になりました。そして、私たちにとっては、(加藤さんの家なので当然といえば当然ですが)1軒目の家の名残というか記憶をあちこちに感じられるところが何より嬉しく思えました。おかげで、引っ越してから実に自然にこの家での暮らしに馴染むことができました。

■ コスト
コストについては、最後の最後まで見直して調整させていただきました。加藤さんと工務店さんには随分ご迷惑をおかけしましたが、結果的には納得できる仕上がりとなりました(たいへんありがとうございました)。
実際のところ、ご提案いただいたプランから見直したところも少なくありませんが、何もかも闇雲に減額(妥協)することはしませんでした。加藤さんや工務店さんのご助言伺いながら、(悩みながらも)結果的には最適なプランに至ったと思います。時間はかかってしまいましたが、単に高い・安いということではなく、そうしたプロセス自体から納得感が得られたように思います。

■ 収納スペース
収納スペースについては私たちの要望もあり、多めに確保していただきました。生活空間の中であまり収納を見せない(感じさせない)ようにするのが最終目標なのですが、まだまだそこまで至っておりません。その意味ではこれが完成形ではありません。造作家具のご提案もいただいていたのですが、コスト等の兼ね合いでやむなく見送ったものも少なくありませんので、今後は家具類を揃えたり、収納方法を工夫したりするなど少しずつ取り組んでいこうと考えています。

■ 住空間
元々、1軒目の家を建てた時も、子供の成長や生活の状況に応じてある程度フレキシブルに居室の使途を変えられるように設計していただきましたが、それから子供も成長し、私たちも相応に歳を重ねましたので(笑)、これから先の年月を見据えたプランをご提案いただいたと思います。(1軒目の家と同様に)開放的でありながらも、プライベートな空間を確保できる点は非常に有り難く感じます。それに加えて1軒目の家を彷彿とさせるような空間(吹き抜けやフリースペースなど)もあって、自然にこの家での暮らしに馴染むことができました。これから先の人生をこうした家で送れることをとても幸せに思います。

■ 冷暖房と採光
暖房については最後の最後まで悩みました。1軒目の家を建てた時は、あまり考えず灯油を選択しましたが、現在は色々な方式や器具があって非常に迷いました。どれも一長一短ありますが、最終的に我が家では都市ガスを主として、床暖房+ファンコンベクタを採用しました。一冬越してみないと分からないところもありますが、現在のところは非常に満足しています。特に妻が寒がりなのですが、体にも合っているようで、上記の方式にして非常によかったと思っています。
逆に、妻が冷房に弱いため、我が家の場合、冷房(エアコン)についてはほとんど使用しません。むしろ、窓を開け放った際に風が通るよう設計していただきました。夏になったらもっと実感できると思いますが、(1軒目の家以上に)風通しのよい家になったと思います。
我が家の場合、南側に大きく窓を取ることができましたので、リビングダイニングは特に明るく開放的な空間となっています。秋口でも、少し陽が差すとポカポカと暖かくなり暖房が要らないほどです。夏場の陽射しや暑さについては何か対策が必要となるかもしれませんが、それはまた改めて考えようと思います(笑)。

■ その他
1軒目の家を建てて約8年間暮らしましたが、その間色々とメンテナンスをしたり、
直したり付け足したり(買い足したり)することがありました。そうしたことを通じて、家は建てたらそれで終わりというものではなく、ある程度手間や費用を手を掛けることで機能や性能を維持・向上させていくものなのだと理解しました。時間や費用の制約があるので、最初から100点満点の家でなくても、少しずつそこを目指していけばいいのだと今は考えています。そんななわけで、加藤さんや工務店さんには引き続きお世話になることと思いますので、今後とも(これに懲りずに)どうかよろしくお願い申し上げます。

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