まちに圧迫感をあたえない二世帯住宅
建築概要
道路から見る.駐車場も含めて道路からの引きを取り、なおかつ道路側の親世帯は平屋建てとしている.これにより、まちへの圧迫感を低減し、大きくなりがちな二世帯住宅のボリューム感を抑える.親世帯の屋根越しに子世帯の屋根が見える.
秋田県能代市
木造 2階建
親世帯(夫婦)+子世帯(夫婦+子供2人)
198.34㎡ (59.87坪)
秋田県能代市に建つ、親世帯・子世帯完全分離型の二世帯住宅です。 敷地は市の中心部にも程近い静かな住宅地に位置します。前面道路側の親世帯を平屋に、奥の子世帯を2階建てとすることで、道路や周辺に対する圧迫感を少しでも低減するように努めました。親世帯と子世帯は、それぞれの玄関回りの収納で繋がる内部動線を設けていますが、玄関や水回り、キッチンなどもそれぞれに設けた完全分離型としています。
住宅は比較的奥行のある敷地に南北に配置され、日中の滞在時間の長い親世帯を南側道路側に、子世帯をその北側に配置しました。子世帯への採光は、平屋の親世帯の屋根越しに、ルーフバルコニーや吹抜けを通して1階リビングまで導くことにしました。
エントランスは、路地状のポーチ(通り土間)から二世帯へアプローチする方法とし、柔らかな光が入り込むヒバ材のルーバーで囲います。子世帯のプランは、1階を主にLDKと水回り、2階を個室空間として、南側にそれぞれの階を繋ぐ吹抜けを設けました。吹抜け上部にはフリースペースやキャットウォークを設けて上下階のコミュニケーションを促します。共働きである子世帯は家事動線にも配慮し、キッチンと水回りが効率的に繋がるような動線としています。
親世帯のLDKは寝室と隣接させ、間仕切りの建具を開放することで、平屋で限られた面積でありながらLDKと一体になり得る広々とした空間を確保しています。
ほぼ分棟型でありながら、内部で繋がる動線も設け、ストレスの無い良好なコミュニケーションが可能な住宅になったのではないかと思います。
子世帯LDK.キッチンの背面は全壁面収納.上部はキャットウォークと吹抜け.LD外部の東側にはそれほど大きくはないがデッキを設けた.キッチンのサイドにはサンルームがある.
子世帯キッチンからリビングを見る.正面小上りの4.5 帖の和室は、リビングと一体に使用可能.
南側には平屋の親世帯があるが、吹抜けのFRPグレーチングを通して南からの日差しが落ちる.東からの採光も有効であり、リビングは十分明るい.
吹抜けに面した2階フリースペース.3.2mほどのデスクが造り付けられ、子供たちの学習や遊びのスペースになる.突き当たりは子供室.
親世帯のLDK.左手は寝室だが、天井までの建具を開け放つことにより、限られた面積の中で広々とした一体の空間を確保できる..
子世帯キッチン.背面の収納スペース.
開放すると天井まで収納可能.
子供室.正面は間仕切りを兼ねた可動式収納.必要に応じてキャスターで移動可能.
1.5帖のコンパクトな書斎.デスクと天井までの書棚.
吹抜けのキャットウォーク.FRPグレーチングを通して光が落ちる.
子世帯寝室.右手にルーフバルコニー.親世帯の屋根越しに南からの光が明るい.左手はウォークインクローゼット.
子世帯洗面脱衣室.カウンター一体のボウルはツインタイプ.上部の横長の窓から採光する.
子世帯シューズクローゼット.ここから親世帯内部と繋がる.
子世帯玄関土間.造り付けの玄関収納.左手にシューズクローゼットの入口があり、親世帯と繋がる.
住宅正面から延びる通り土間のアプローチ.手前が親世帯、奥が子世帯の玄関.
親世帯玄関.収納を通して、奥に子世帯の階段が見える.右手からLDKへ.上部はスリット状の間接照明としている.
親世帯通路からLDK方向を見る.右手は全面収納棚.中廊下だが、東側トップサイドライトから日が差し込む.
シンプルなファサード.駐車場で道路から引きを取り、ボリューム感を抑える.
通り土間のアプローチ入口.
子世帯玄関から通り土間を見返す.ルーバー越しの柔らかな明るさ.
子世帯東側の外観.2階にルーフバルコニー、1階にデッキがある.飛び出したボリュームは、物干用のサンルーム.