デザイン事務所から住宅へ
建築概要
ファサード. 外部は主にサッシ回りの補修以外、原則として既存のままの形状・仕上としています. 既存建物は事務所だったため車両の出入を重視し、道路に対して全くオープンでした. 住宅に改修するにあたり、閉鎖的になり過ぎないよう適度に囲い、アプローチはコンクリート打ち放しの塀をデザインしました.
秋田県秋田市
木造2階建 パネル工法
193.00㎡ (58.38坪 )
秋田市内のグラフィックデザイン事務所を、3 人家族のための住宅に改修するプロジェクトです。
既存の建物は、メーカー系フランチャイズ方式のツーバイフォーに近いパネル工法でした。 このような独自構造の場合、間仕切壁の撤去や開口部の増設等の構造的改修の自由度は低く、基本的には既存の状態をそのまま活かしたプランニングを考えていくことになります。そこで、既存の構造体はほぼそのままで、可能な範囲での開口部拡幅や、インテリアデザインにより、いかに快適な住宅へ改修するかが課題となります。機能優先の事務所から、落ち着いた自然素材により気持ちの安らぐインテリアデザインを提案させていただきました。既存建物の方位の良さをそのまま活かし、LDK 回りの快適性を重視した設計としています。
また、事務所建築ゆえ浴室や洗面所は無く、これらの水回りを増設する工事も必要になりました。 さらに、外部は暗めのトーンから明るくアクセントの効いたモダンなデザインを提案し、外構はセキュリティにも配慮し、オープン過ぎないよう適度に敷地を囲い込みました。
グラフィックデザイン事務所だった既存建物. 最低限の水回りを有し、 パネル工法特有のやや閉鎖的な壁の多い構造です.
ダイニングからリビングとキッチン方向を見る. 既存の壁はほとんどそのままに、構造に影響の無い範囲で開口部の拡張と、間仕切壁・仕上の改修を行いました.
リビング. 床材はスプルス三層フローリング、壁は珪藻土塗壁. 開口部を掃出し窓とし、キッチンと外部でつながるデッキを設けました.
リビングのTV台. 上下に収納スペースを備えています.
キッチン. 深澤直人デザインのリビング・ステーション.
キッチンからリビング、デッキ方向を見る. 道路側に面していますが、ルーバーにより穏やかに視線を遮ります.
ダイニングから納戸・洗面浴室方向を見る. 新たに設けた納戸間仕切壁は、人の動線に沿って緩やかにアールを描きます.
エントランス. 間接照明のディスプレイ棚.床は既存.
アルミルーバーフェンス越しに住宅を見る.
アプローチ. 玄関とはあえてオフセットし、 門扉正面にシンボルツリーを植えました.
後に増築したガレージ. デッキのルーバーのデザイン要素を引用しながら、ローコストな材料で建設費を抑えました.
コンセプト・イメージ.インテリア.
コンセプト・イメージ.エクステリア.
もちろん様々な希望を聞き入れてくれるという姿勢はあっての事なのですが、こちらからあまり具体的な要望は出さないという事が良かったと思います。 細かな要望は使い勝手とデザインを制限してしまうと考えたからです。
やはり専門家の考え方は受け入れるべきだと思いました。 それも信頼在りきという事は言うまでもありません。
キッチンの位置を既存の場所からこれ程変更するなど、まさに我々素人には思い付かない発想。 作り付けの家具なども是非お勧めです。
玄関からリビングへ繋がる壁の造形やキッチンの存在感、照明の配置とそのデザインの選択。 細かなところではスイッチプレートや、提案していただいた床の素材感なども気に入っています。 家族3人大変快適に生活しております。本当にありがとうございました。